2008年11月24日

「嵐になるまで待って」 2002/8/17

演劇集団キャラメルボックス 2002サマーツアー 「嵐になるまで待って」

観劇日:2002年8月17日・14:00の部(1階14列13番)


<あらすじ>

声優志望のユーリは、テレビアニメのオーディションで見事、合格!

その顔合わせの席で、作曲家の波多野と出会う。

波多野には、口から出す声とは別に、もうひとつの声があった。

誰にも聞こえないはずの「2つ目の声」が、なぜかユーリの耳には聞こえた!

そのことに気づいた波多野は、ユーリから声を奪う。

第1回の録音まで、あと5日。

はたしてユーリは声を取り戻せるだろうか。

(「嵐になるまで待って」戯曲集より)


<キャスト>

ユーリ 岡内美喜子

幸吉 細見大輔

波多野 岡田達也

雪絵 忍足亜希子(客演)

滝島 大内厚雄

勝本 畑中智行

チカコ 中村亮子

津田 佐藤仁志

高杉 三浦 剛

広瀬教授 西川浩幸


<シーンナンバー>

オープニング

広瀬の回想

オーディション

ナルニア国物語

オーディション合格

波多野と高杉

ユーリの不安

君が声を出さなければ

台風男・広瀬正勝

高杉自殺未遂

信じてくれない幸吉

広瀬教授の解釈

ユーリの声を取り戻す!!

雪絵と波多野の真実

操られる幸吉

屋上へ!!

格闘!!

広瀬の追憶

雪絵の手紙

嵐は去った


<感想>

初めて 演劇集団キャラメルボックスの生の舞台を見てきました。

今までずっと、東京MXテレビで放送されている「キャラメルボックスTV」 を見て 我慢していましたが 念願かなってうれしかったです。

最初は当日券で行こうと考えていたのですが、キャラメルボックスのサイトを見たところ、 公演日前日予約の電話番号が記載されていたので、見に行く前の日に電話をかけてチケットを予約しました。

今回は、「嵐になるまで待って」の再々演。

そのため、私は6月にMXテレビで放送された97年公演の「嵐になるまで待って」(再演) を録画したビデオを前日にじっくり見てから劇場へ行きました。

お昼過ぎにサンシャインのほうへついたので、先に食事を済ませました。

エレベーターで4階へ行くと、チケット販売窓口の反対側が椅子に座った人たちの長蛇の列…。

後ろにいた人に尋ねると、当日券の列だと教えてくださいました。

人気があるんだなあと思いました。

当日券販売時刻になるまでの間、待っている人たちが疲れないようにという配慮で、椅子を出したんでしょうね。

キャラメルボックスの公演は、小学生未満は入場不可なんです。

大人の人たちが大勢いて、なんだか場違いのところにきてしまったような感じがしましたが、セラミュ(セーラームーンミュージカル) と同じ劇場、ということを自分に言い聞かせていました。

12時55分に当日券の販売が開始されました。

そしてそのあとすぐに、電話予約のチケット引き換えも始まりました。

座席料金は1階席、2階席ともに4500円。

私的にはちょうどいい値段でした。

私の番になり、予約番号と名前をスタッフの方に告げて チケットを引き換えました。

前日に電話予約したので、あまりいい席ではないだろうなあと思っていたんですが、席は1階の14列13番。

1階席で、うれしかったです。

1時過ぎ。ロビーのドアが開いて、開場となりました。

そして、驚いたことに公演パンフレットが無料!!

これには本当にビックリしました。

ロビーの入り口でパンフレットを受け取ったあと、グッズ等を見ていました。

グッズの販売も1箇所にまとめて売られていました。

セラミュのときのように 人ごみでおされたりという心配がなく、販売されているものをゆっくり見ることが出来ました。

そのため、ロビーの中がすごい広く感じられました。

観劇前に「嵐になるまで待って」の戯曲集を購入し、トイレを済ませて 客席へ行きました。

席は、真ん中寄りのすごくいい席でした。

でも、キャストさんの表情等は 双眼鏡を使わないと見にくい席だったので、双眼鏡は手放せませんでした。

席へ行った時点で、すでに幕は開いており、舞台上にはセットが組まれていました。

ビデオで見たのと同じ光景を客席で見て、本当に劇場へきたんだなあという実感が湧いてきました。

客席へ行ってから、私と同い年くらいの人たちもたくさんきていることがわかって、安心しました。

開演まで公演パンフを見ていました。

今回の公演、キャストに一部 変更がありました。

キャスト変更があったのは、ユーリ、幸吉くん、雪絵さん、滝島さん、津田さん、勝本さん、チカコちゃん、高杉さん役の方です。

ユーリが岡内美喜子さん、幸吉くんが細見大輔さん、雪絵さんが忍足亜希子さん(客演)、滝島さんが大内厚雄さん、 津田さんが佐藤仁志さん、勝本さんが畑中智行さん、チカコちゃんが中村亮子さん、高杉さんが三浦 剛さんとなっていました。

波多野と広瀬教授の役は再演のときと同じ、岡田達也さんと西川浩幸さんでした。

開演時間が近づくにつれ、客席は補助席も含めて満員となりました。
しまいには、通路に座布団席まで出ました。
公演が始まって、3日目なのにすごい人気なんだなあと思いました。

開演前に前説がありました。

公演グッズの紹介や、この作品をやる時期に 必ず台風がくる、ということも話されていました。
待っている間も楽しみながら待つことが出来て、よかったです。

2時10分過ぎ。
舞台が始まりました。

嵐の風の効果音とともに、私自身もこの舞台にどんどん引き込まれていきました。
そしてオープニングのメロディーが聞きなれたメロディー。
97年の再演版のときと、同じBGMを使用していたんです。

前日にビデオを見たおかげで、本当にスーッとお話の中に入っていけて よかったです。

このオープニングの曲にあわせて、出演者全員が手話を取り入れたダンスをするところから始まります。
皆さんのダンスがとても素敵でした。

この場面、キャストさん全員を見たかったので、双眼鏡を使わずに オープニングの場面を見ていました。
この場面以外は、すべて双眼鏡を使って キャストさんを追いかけていました。

ストーリー展開は、97年の再演版と同じで、広瀬教授を演じる西川浩幸さんのナレーターで進められていきました。

最初の場面は、雪絵さんが広瀬教授の研究室にやってくる場面です。

雪絵さんは耳が聞こえないという設定ですが、今回の公演では、聾唖の忍足亜希子さんが演じています。 そのため、 すごくリアルな感じでした。 

雪絵さんは手紙を渡してほしいと広瀬教授に頼んで、研究室を出て行きます。
その手紙は、ユーリに宛てて書かれたものでした。

次の場面は、東京映像のスタジオの場面。

岡内美喜子さん演じるユーリが、声優のオーディションを受けにやってきます。
緊張のあまり、中に入るときに 勝本さんを突き飛ばしてしまいます。
この演技のアドリブに、客席が爆笑の渦となりました。

ユーリは昔 歌をやっていましたが、自分の声がかわった声で嫌いなので、声優の道へ転向したといっていました。
再演のときは、男の声みたいで嫌い、という設定だったのですが、今回はかわった声で個性的、という設定に変更されていました。

このあと、オーディション 「ナルニア国物語」で、ユースチスの声を当てるように言われ、 すでに声優になっているチカコちゃんと一緒に、掛け合いで やっていきます。
この場面、他にも2、3箇所アドリブがあって、面白かったです。

オーディションの場面が終わり、次はユーリの家の場面。

ユーリは幸吉くんに電話をかけ、オーディションを受けてきたことを話します。

幸吉くんの設定も、大学時代の友人という設定から、中学時代の家庭教師という設定にかわりました。

全然受かる自信がないというユーリに、「まあ今日は初めての挑戦だったんだ。失敗して当然さ。 むしろ、 いい勉強をさせてもらったって感謝しなくちゃ」と、幸吉くんは言います。

幸吉くんと話をしているときに別のところから電話がかかってきます。

ユーリは幸吉くんに断って、そっちに出ます。

電話は、先ほど受けたオーディションのスタジオディレクターの滝島さんからでした。

滝島さんは、ユーリに合格したことを告げます。

ユーリは気が動転してしまい、滝島さんの話を最後まで聞かずに、電話を幸吉くんのほうに切り替えてしまいます。

「合格したのよ。 私、役についたの!」

ここで、この場面は終わりです。

このあとの西川さんのアドリブ入りのナレーターに、爆笑しました。

続いて、東京映像のスタジオの場面です。

この場面でユーリは思いがけない出来事に遭遇するのです。

ユーリがスタジオへきたところで滝島さんは、ユーリと声が似ている人がいることを話します。
それは、男性であるとも言います。

そこへ、作曲家で今回の音楽を担当する波多野と、お姉さんの雪絵さんがやってきます。

波多野を演じる岡田達也さんの衣装が水色のジャケットに白いシャツで、再演の時と比べて すごく涼しげな衣装でした。
髪も短めで、知的な感じのする 波多野でした。
雪絵さんを演じている忍足さん、とてもきれいな方でした。

しばらくして、俳優の高杉さんもスタジオにやってきます。
高杉さんは波多野の顔を見るなり、親友の熊岡さんの話を持ち出します。
高杉さんは熊岡さんを死に追いやったのは、波多野だと思っているのです。

一方、ユーリとチカコちゃんは台本を取りに、スタジオ内から外へ出ます。

その廊下で、サンキュースポーツの津田さんと会います。

津田さんは、「高杉雄二にインタビューがしたいんだ」とユーリに頼みます。

ユーリはそれを承諾し、津田さんを連れてスタジオ内へ戻ります。

この津田さんと会話をしている場面、後ろのほうで 手話で会話をしている達也さんと忍足さんが微笑ましかったです。


波多野は高杉さんに曲をつけるために、歌を歌って欲しいと頼みますが高杉さんは聞き入れません。

そこへ、津田さんがインタビューをしたくて声をかけますが、高杉さんはお構いなし。

波多野は「僕の前で歌うのが恥ずかしいのか?」と、聞きます。

「そうじゃない。今さらガキみたいな真似は出来ないって言ってるんだ」

「高杉くん、波多野さんは君のためを思って言ってるんだよ」と、なだめる滝島さん。

「どうでしょう 滝島さん、 高杉くんの歌はなしってことにしたら」という波多野。

「そんなことできるわけないだろう。 俺は主役なんだぞ」

「吹き替えっていう手もありますよね。 僕の知り合いでよかったら、何人かあたってみますけど」

この波多野の一言に、カッとなる高杉さん。

「勝手なことをいうな。おまえ、何様のつもりだ? おまえはただの音楽担当だろう。だったら俺につべこべ言う前に、曲を作ってこい」 と、高杉さんは言います。

再演のときに、高杉役を演じていた近江谷さんの演技もよかったですが、 今回演じている三浦さんのほうが 高杉さんの自分勝手な性格がセリフや演技の中にあらわれていて、とてもいい感じでした。

「せっかくつくっても、君に歌いこなせなかったら困るじゃないか」

「なんだと、このやろう!!」と、高杉さんは波多野につかみかかります。

そんな高杉さんを必死で止める勝本さん。

滝島さんは、「どうでしょう? この話はまた日を改めてってことで」と、波多野に言います。

すると波多野は「申し訳ないけど、僕にはあまり時間がないんです。彼のわがままに付き合うわけにはいきません」と言います。

「熊岡の言ってた通りだな。 傲慢で、自分勝手で」

「それは君のことだろう」

「いや、さすがの俺もあんたにはかなわない。 あんたみたいに他人を自殺させたことはないからな」

「それはどういう意味だ?」

「熊岡のことだよ。 あんたはあんたのスタジオから熊岡を追い出した。 おまけに裏から手をまわして、 ニューヨークの業界から締め出したんだ」

「僕にそんなことができるわけないだろう」

「できるさ。あんたはニューヨークじゃ有名人だからな。 熊岡が自殺したのは、みんなあんたのせいなんだ」

「君が親友を思う気持ちはわかる。 しかし君の言ってることは、単なる逆恨みにすぎない」

これ以上話しても無駄だと思ったのか、高杉さんはお姉さんの雪絵さんに詰め寄ります。

「お姉さん、あんたはどう思う?」

「やめろ!」と、止める波多野。

「熊岡はなぜクビになったんだ? なぜホテルの窓から飛び降りたんだ?」

「姉に話し掛けるな!」

「おまえには関係ないだろう! あんたの弟は何をしたんだ? あんたなら知ってるだろう?」

雪絵さんは、手話でなにかを高杉さんに伝えます。

「え?今、なんて言ったんだ?」

「はなせ!」

「邪魔するなよ。俺は彼女と話をしてるんだ!!」

「姉は話なんかしてない!!」

このセリフ部分を達也さんは、手話を使いながら表現していました。この手話が自然と出たような感じがしました。

「今、口を動かしただろう! もう一度動かしてみろ。さあ、早く。 口を動かせ! 早く!!」

「高杉!その手をはなせ!!」と叫ぶ波多野。

「うるせえな。おまえは黙ってろ!!」

「はなせ!!(死んでしまえ!!)」

高杉さんは、その場から立ち去ります。

津田さんはあとを追いかけます。

ユーリの耳にははっきりと、波多野が「死んでしまえ」といったのが聞こえたのです。
けれども、周りの人たちには聞こえませんでした。
ユーリだけが聞いた、「死んでしまえ」という声。この声がいったいなんなのかが非常に気になるところです。

再演のときに比べて、この「死んでしまえ」という声が 割とゆっくり聞こえました。
ちょっとだけ 背筋が寒くなりました。

ユーリは家へ帰ってから、幸吉くんに電話をかけ、今日あった出来事を全部話します。

ある人の声が自分には2つ聞こえた、と。

ユーリの話を聞いた幸吉くんは 精神感能力を使ったのではないかといいます。

この場面も、細見さんのアドリブ台詞があって おもしろかったです。

次の日。

スタジオで、滝島さん、波多野、ユーリがうちあわせをしているところです。

滝島さんは波多野に高杉さんがきていないといいます。

すると、「滝島さん、僕はあと5日しか日本にいられないんですよ!」と波多野は言います。
このセリフの言い回しが再演時よりも、少しきつい言い方になっていました。

そして、滝島さんは、波多野さんとユーリの声が似ていると言います。

「僕ですか?」と、波多野もびっくり。

すると、ADの勝本さんも「昨日高杉さんに言った、はなせって言う声 オーディションで聞いた君原の声と似ていましたよ」と言います。

滝島さんはユーリに波多野さんと一緒にレッスンするようにと言います。

ユーリは昨日の「死んでしまえ」といった声がこわくて、レッスンどころではありません。

波多野は「もしかして、僕と2人きりになるのがこわいのか? 僕は何もしないよ。さあ、レッスンに行こう」と、 ユーリの手を引きますが、ユーリはその手を振り払います。

「君原、波多野さんに謝れ!!」

「いいんですよ。 さあ、こっちへきて。 こわがらなくていいから。さあ」と、波多野は優しくユーリに声をかけますが、 ユーリは彼を突き飛ばし、その場から走り去ってしまいます。

雪絵さんが、「君原さん、どうしたの?」と、聞きます。

「さあ。僕にもよくわからないんだ」

波多野は、床からペンダントを拾い上げます。

続いて、ユーリの家の場面です。

電話がかかってきたので、ユーリは受話器をとります。

電話の相手は波多野でした。

彼は、イルカのペンダントを拾ったから 取りにくるようにといいます。

波多野は雪絵さんに、「ちょっと出かけてくるよ」と言います。

「こんな時間にどこへ?」

「ロビーへ行くだけさ。今から人が会いに来るんだ。 一緒に仕事をしてる人」

雪絵さんは、誰が会いにくるのか聞きます。

波多野は、「心配しないで。高杉じゃないから」と伝えて部屋から出て行きます。

最後の「高杉じゃないから」という部分、再演時は、口を大きく開いて、1音1音区切るようにして言っていたのですが、 今回は手話で伝えていました。

ユーリは、波多野が泊まっている品川のホテルへ向かいます。

ロビーで波多野が待っていました。

ユーリは昼間のことを謝り、ペンダントを返してもらうように頼みますが、波多野はこのペンダントに関して ユーリに質問を浴びせます。  このペンダントは誰からもらったのか等。

しまいには幸吉くんのことも話題に出して、ユーリをさらに苦しめます。

そして、波多野はユーリに暗示をかけ、彼女の声を奪います。

『君が声を出さなければ、彼は君を愛してくれる』

この直後、ユーリは無表情になってしまいます。

「ごめん。ちょっと言い過ぎたみたいだな。気に障ったら謝るよ」

ユーリは、その言葉には答えずにホテルを立ち去ります。

「忘れ物だよ」

波多野はユーリの手のひらにペンダントをのせてやります。

そこへ雪絵さんがやってきます。

波多野が戻ってくるのが遅いので心配していたのでしょう。

波多野は、「一緒に仕事をしている人って言っただろ。 ペンダントを取りにきたんだ。 ちゃんと返してあげたよ。彼女、 とっても喜んでた」と、雪絵さんに伝えます。

そして、「姉さん」と言って、一緒に部屋へ戻ります。


その帰り、ユーリは幸吉くんに電話をかけます。が、声が出ません!!

最初は幸吉くんも「俺をからかってるのか?」と言っていましたが、しばらくして ユーリの声が出ないことに気づきます。

「もしかして、声が出なくなったのか? Yesなら1回、NOなら2回受話器をたたけ」

ユーリは受話器を1回たたきます。

幸吉くんはユーリに、その電話が携帯かどうかを聞きます。

ユーリは受話器を1回たたきます。

「じゃあ、メールを送ってくれ。すぐに迎えに行く!!」と言います。

この場面、再演時はポケベルで50音表を横と縦の数字にあらわして、その回数だけ受話器をたたいて知らせる、という設定だったんです。
携帯でメールを送るという設定に、時代の流れを感じました。

次の日、ユーリと幸吉くんは広瀬教授の研究室を訪ねます。

広瀬教授はユーリに声が出なくなったときのことを話してもらうように頼みます。

「11時ごろ、僕に電話をかけてきたときに声が出なくなったことに気づきました」と、幸吉くんは説明します。

広瀬教授はそのときのことを詳しく話すようにいます。

ユーリは筆談で、波多野と品川プリンセスホテルのロビーで会っていたことを伝えます。

ここで西川さんが、「ロビー」を「くちびー」と言うアドリブが入り、客席が大爆笑の渦に。

もちろん、私も笑いが止まりませんでした。

このアドリブは再演時にもやっていて、ビデオを見ながら爆笑しました。

「波多野さんはどんな人なんだ?」

この幸吉くんの質問に対し、ユーリは筆談で「こわい人」と伝えます。

「あなた、波多野さんになにか言われたんですか? 例えば、『君とは一緒に仕事をしたくない』とか」

「それが潜在意識に衝撃を与えたんですか?」

「あくまでも一つの可能性ですよ」

「どうなんだ? ユーリ」

ユーリは本当のことを話そうとしません。 話しても、信じてくれないと思っているのでしょうね。

「あなたが心を開いてくれなければ、僕にはどうすることもできません。 時間がかかるようなら、いくらでも待ちます。 もし、 話せるようになったら ここに電話してください」

「でもユーリは声が出ないんですよ!」

「じゃ、手紙を書いて速達で送ってください」

「そんな面倒くさいことしないで、携帯にメールすればいいじゃないですか」という幸吉くんに、広瀬教授は機械が苦手だといいます。

幸吉くんは彼にメールの打ち方を教えます。

「なるほど。でも僕は携帯を持っていないんですよ」

「この方法を使えば携帯じゃなくても話が出来ます。 数字の回数だけ受話器をたたくんですよ」

ここでまた、アドリブが入ります。

「受話器をたたく」と、手振りで受話器をたたくしぐさをする広瀬教授。

「それは受話器をたたく。僕が言ってるのは受話器でたたく」という幸吉くん。

ここも、笑ってしまう場面でした。

「よし、それを合図にしましょう。 受話器を8回と2回たたく。 そうすれば、あなたからの電話だと判断します」

ユーリは広瀬教授の机のところにおいてあった新聞を目にして、ジェスチャーで幸吉くんを呼び寄せます。

「今朝の新聞ですよ。なにか面白い記事でもありました?」

「高杉雄二自殺未遂!?」

「高杉雄二って?」

「昨日午後7時ごろ、東京都西多摩郡奥多摩町の林道脇のがけ下で、高杉雄二さん所有の自家用車が発見された。  警察が内部を捜索したところ、運転席で倒れていた高杉さんを発見」

その瞬間、ユーリは倒れてしまいます。

「ユーリ! ユーリ!!」


次の場面は、高杉さんが入院している聖セシリア病院の場面です。

波多野が雪絵さんを連れて、高杉さんのお見舞いにきていました。

そこへ津田さんがやってきて、波多野に高杉さんのことを尋ねます。

津田さんは高杉さんがこんなことになったのは、波多野に原因があるのではないかとにらんでいたのです。

何度もしつこく聞いてくる津田さんに対し、波多野は2つめの声で『僕は何もしていない!!』と暗示をかけます。

「そうですね。 あなたは何もしていない。 お時間をとらせてすみませんでした」といって、津田さんは立ち去ります。

不安そうにしている雪絵さんに、「僕の言うことを信じてくれたんだ。心配ないよ」と波多野は手話で伝えます。

そこへ、滝島さん、勝本さん、チカコちゃんがお見舞いにやってきます。

それとほぼ同時に高杉さんが現れます。

「来週の録音には間に合うのか?」

「ええ。それまでに退院できると思います」

「僕は日曜に、ニューヨークへ帰るんです。歌のレッスンはなしってことにしたほうがいいみたいですね」と、波多野は言います。

そして、「口に合うかどうかわからないけど、ケーキを買ってきたんだ。よかったら食べてくれ」と、 波多野は高杉さんにケーキを渡します。

しかし、高杉さんは甘いものが苦手だといって、勝本さんに渡します。

病室へ戻る際、「滝島さん、波多野さんに伝えてください。 もうけがをするのはごめんだって」といって、 高杉さんは病室へ戻っていきます。

高杉さんが病室へ帰ったあとで、ユーリと幸吉くんがやってきます。

「君原、おまえ風邪で休んでたんじゃなかったのか?」

滝島さんたちには、風邪で声が出なくなったということにしてあるのです。

「それなのに、男と歩いているってことは、波多野さんに会うのがいやで仮病を使ったな?」

「そんなことない!! ユーリちゃんは本当に病気なのよ」と、チカコちゃんが言います。

「君原、録りは来週からだ。それまでに声が出せるようにならなければ、おまえには役を降りてもらう。 ユースチスはオーディションでおまえの次によかったやつにやらせる。 文句はないな?」と、滝島さんは言います。

ユーリはうなずきます。

「ユースチスがやりたかったら、早く治すんだ。彼氏なんかと遊んでないで」といって、滝島さんは去っていきます。

幸吉くんと2人だけになったユーリは、高杉さんがけがをしたのは、波多野が原因であることを筆談で知らせます。

けれども、幸吉くんは信じてくれません。

そこへ津田さんもやってきて、「波多野はなにもしていない」と言います。

ユーリは幸吉くんになんとか信じてもらいたくて、今まであったことすべてを紙に書いて伝えます。

波多野の声には人を操る力があること、2つめの声で高杉さんを操ってけがをさせたこと。

しかし、幸吉くんは「ユーリが思い込んでいるだけだ。波多野さんの2つめの声は、おまえの声だったかもしれないんだ」と言います。

ユーリは、「それじゃあ、私の声を出せなくしたのは私ってことになる」と紙に書きます。

「そうだよ。ユーリは自分の声が嫌いじゃないか!! だから歌をあきらめて声優になったんだろ? でも大きな役で不安だった。 その不安な気持ちがユーリに声を出すなって命令したんだ!!」

ユーリは再び紙に「私はあんなこと言わない」と書きます。

「あんなことってどんなことだよ!? ユーリは波多野さんになんていわれたんだよ?」

黙って、沈み込んでしまうユーリ。

「なんで答えないんだよ。いくら信じてくれって言われたって、隠し事をされたら信じられるわけないだろ!!」

幸吉くんにそういわれ、ユーリは泣きながら、波多野が暗示をかけた言葉――「君が声を出さなければ、彼は君を愛してくれる」 と書きます。

「ユーリ、その 彼っていうのは…?」

ユーリは幸吉くんをじっと見つめ、泣きながら走っていきます。

幸吉くんはユーリが自分のことを想ってくれていたことに初めて気づくのでした。

「そうか。ユーリは俺のために…!!」

幸吉くんはユーリのあとを追いかけます。

次の場面は、広瀬教授の研究室の場面です。

ユーリとの会話の前に、自分の奥さんと電話で話をする広瀬教授。

ここの場面、アドリブの連続で 爆笑しっぱなしでした。

そして、ユーリが広瀬教授に電話をかけます。

声が出ないため、受話器をたたいて 自分であることを広瀬教授に知らせます。

「君原さんですね? そろそろかけてくる頃じゃないかと思っていました。 今朝の9時ごろだったかなあ、 幸吉くんから電話がありましたよ。『ユーリはここにきていませんか』って。 幸吉くん、昨日からあなたのことをずっと探してたんですよ。 あなたのアパートへ行ったり、声優学校へ行ったり。 あなたのことをすごく心配してましたよ。 それから、波多野さんのこと、 幸吉くんから聞きました。 幸吉くんは精神感能力以外に考えられないけれど、別の可能性はないかっていうんです。それで考えてみたんですが、 1つ見つかりました。 これからそれをお話しますので、僕の研究室にきてください」といって、電話を切ります。

しばらくして、ユーリが研究室にやってきます。

広瀬教授は、「あなたの声を出せなくしたのは、やはりあなた自身です。このことは幸吉くんから聞いたと思います。 つまり2つめの声はあなた自身の声なんです。僕はこの可能性を99%信じています。
でも、幸吉くんは残りの1%も考えておきたいって言うんです。幸吉くんはあなたを信じてみたいんだそうです。 今まであなたの言っていることが信じられなくて、あなたを苦しめてしまった。だから信じるところからはじめたいって」といって、 ユーリの気持ちを落ち着かせます。

このことを聞いて、ユーリも少しは気持ちが楽になったのではないかと思います。

「あなたの言っていることがすべて事実なら、波多野さんにはきわめて特殊な能力があることになります。  口から出した声とは別のもう1つの声で、他人の心を操る能力。そんな能力が本当に存在するのかどうかはわかりません。 でも、 それを実証するために、もっと身近なところから考えていきたいと思います」といって、広瀬教授は母親と子供を例にとって説明します。

その説明によって、ユーリはすべて納得するのでした。

「あなたにもわかったようですね。 そうです。波多野さんは1つの声に2つの意味をこめているんです。  2つめの声で相手に暗示をかける。きわめて強力な暗示を」と、広瀬教授は言います。

ユーリは、「なぜ私にはそれが声として聞こえるんですか?」と紙に書きます。

「それは、あなたと波多野さんの声が似ているからですよ。あなたには波多野さんの声の変化がよくわかる。 まるで、 2つめの声のように。 でも、この仮説を実証するのは難しいでしょう。あなた以外の人間には聞こえないんですから。 幸吉くんは今、 東京映像のスタジオにいます。波多野さんの出演したビデオを見るために」

ユーリはジェスチャーで「私も行きます」と伝えます。

「僕も行きます。一緒に行きましょう」

広瀬教授とユーリはスタジオへと向かいます。


続いて、東京映像のスタジオの場面。

幸吉くんは滝島さんにすべてを話しますが、滝島さんは波多野の2つめの声をまったく信じようとしませんでした。

そこへ、ユーリと広瀬教授がやってきます。

滝島さんはユーリに無理やり声を出させようとしますが、広瀬教授がそれを止めます。

広瀬教授は幸吉くんにどうだったかを尋ねます。

幸吉くんはまったくダメだったといいます。

そこへチカコちゃんがやってきます。

「ユーリちゃん、声は出せるようになった?」

その問いに、ユーリは首を振ります。

滝島さんは、ちかちゃんは相手の気持ちを読むのがうまいと説明します。

「ちかちゃんなら、波多野の気持ちがよめるかもしれない!!」と、幸吉くんはいいます。

ユーリは幸吉くんを呼び寄せます。

「どうしたんだ? ユーリ」

ユーリは、「ビデオじゃないとダメですか?」と書きます。

「どういうことだ?」

「あのとき、津田さんはテープを録音していました」と、書きます。

「本当か?ユーリ」

「あのときって?」

「高杉にインタビューしたときのことだと思いますよ。 声だけでも大丈夫ですよね?」

「もちろんです! すぐにテープを取り寄せてください」

「津田に電話してみます」

「ちかちゃん、君原さんの声を取り戻すためには、君の協力が必要なんだ」

「ユーリちゃん、本当?」

ユーリはうなずきます。

「わかった。ユーリちゃんを助けるためなら協力する」

「君原さん、残りの1%が99%に勝ちましたよ」と、広瀬教授が言います。

ユーリは笑顔でうなずきます。

「津田がつかまりました! 今テープを探してもらってます」

「ちかちゃん、これから君にあるテープを聞いて欲しいんだ。 その中には君と同じ能力を持った人の声が入っている。  その人が2つめの声でなんていっているのか、僕らに教えて欲しいんだ」

「あったあった。同じテープを何回も使ってるからどこに入れたのかわからなかったよ。 それよりこのテープに何の意味があるんだ?」

「理由はあとで説明する! だから頼む!!」

「途中からでもいいか?」

「いいから早く!!」

「わかった。かけるぞ」

「ちかちゃん!」

幸吉くんはチカコちゃんに携帯を渡します。

チカコちゃんはそのテープに耳を傾けます。

最初のほうであった、高杉さんと波多野の喧嘩の回想です。

舞台のセット越しに 波多野を演じる達也さんと高杉さんの役を演じている三浦さん、 雪絵さん役の忍足さんがその場面を演技して再現していました。

「おまえは黙ってろ!!」

「はなせ!!(死んでしまえ!!)」

ユーリが聞いた「死んでしまえ」という声はチカコちゃんにも聞こえました。

「聞こえた!!」

「2つめの声が聞こえたのか?」

「波多野さんはなんていっていましたか?」

「死んでしまえ、死んでしまえって!!」

「ユーリ!!」

ユーリはうなずいて、自分もその声を聞いたことをジェスチャーで伝えます。

こうして、2つめの声は証明されたのです。

このあとどうするかを話し合った結果、雪絵さんに協力を頼むことにしたのです。

波多野はこの日、上野にバレエを見に行くことになっていました。 雪絵さんと一緒に。

そこで、ユーリたちは二手に分かれることにしたのです。

幸吉くんと滝島さんは上野へ行って、雪絵さん一人を連れ帰る、 広瀬教授とユーリとチカコちゃんはホテルへ行って雪絵さんの帰りを待つことに。

ユーリたち3人は、雪絵さんのいるホテルへ向かいます。

台風がもうじき上陸ということで、外はひどい雨と風。3人とも大急ぎにロビーへ入ります。

広瀬教授は「波多野さんが部屋にいないか確かめてきます」といって、ロビーの人に聞きに行きます。

しばらくして、広瀬教授が戻ってきます。

「雪絵さんは部屋にいました。 昨日から風邪気味でバレエには行かなかったそうです。行ったのは波多野さん一人だけ」

「部屋は何階?」

「17階です。行きましょう」

ユーリたちは17階へと向かいます。


一方、波多野のあとをつけている幸吉くんと滝島さん。

幸吉くんはその途中で、津田さんに電話をかけます。

「波多野の周りで、不審な死に方をしている人がいないか調べてくれ」

「昨日それと似たようなことを高杉にも頼まれた。おまえ、熊岡恭太郎って知ってるか?」

「いや」

「去年ニューヨークで自殺したギタリストだよ。高杉はあいつは波多野さんに殺されたって言っていたんだ」

「で、調べた結果は?」

「もちろん高杉の勘違いだ」といいます。


続いてホテルの場面。

ユーリたちは、雪絵さんと会います。

広瀬教授は雪絵さんにユーリの声が出なくなったときの状況を手話で説明します。

その話を聞いた雪絵さんは、「祥也がやったんですね? あの子にならできるはずです。 でも、その前に詳しい話を聞かせてください」 と伝えます。

一方、幸吉くんは津田さんと会います。

そこへ滝島さんが「波多野さんが消えた!」と言いにきます。

「しまった! 少し目を離したすきに」

そこへ、勝本さんから電話がかかってきます。

「波多野さんがこっちへ現れたんです!」

「こっちってどこだ? おまえ今、どこにいる?」

「聖セシリア病院です。高杉さんが入院している」

勝本さんは あとを追いかけるといって、電話を切ります。


ホテルの場面です。

雪絵さんはユーリたちにすべてを話してくれました。

子供の頃に起こった出来事をすべて。

「耳の聞こえない私を助けるために、祥也はなんでもしてくれました。 でも、 いつのまにか周りの人々が祥也の言うとおりに動くようになりました」

そこまで説明したとき、雪絵さんはうずくまってしまいます。

「しっかりしてください、雪絵さん! 雪絵さん!!」


場面は変わって、高杉さんが入院している病院の場面です。

波多野が病院へきたところで、高杉さんと会います。

高杉さんは、知り合いの新聞記者に調べてもらったといって 亡くなった親友の熊岡さんのことを話します。

「熊岡はパーティーの席であんたのお姉さんに絡んだそうじゃないか。 それであんたは熊岡をクビにして、自殺に追い込んだんだ」

そこへ、勝本さんが走ってきて高杉さんに逃げるように言います。


場面は、ユーリたちのいるホテルの場面にかわります。

雪絵さんは、母親の死後、父親が友人を連れてきたことを話します。

そして、その友人が自分の部屋へきたことも。

そのとき、自分を助けてくれたのが波多野だったといいます。

ところがそのあとがどうなったのか、わからないと説明します。 気がついたときには、目の前で家が燃えていた、と。

「でも、祥也の周りで次々人が死んでいくんです。 それはみんな、私を傷つけようとした人たちでした」と、付け加えます。

広瀬教授は、「あなたの弟さんは、あなたを守るために力を使っていたんですね」と言います。


病院の場面。

波多野は高杉さんが一人になったのを見計らって、彼に「死んでしまえ!!」と暗示をかけます。

高杉さんは病院の屋上へと歩いていきます。

ホテルの場面。

広瀬教授は雪絵さんに「テレビアニメの収録はあさってから始まります。それまでに声が出せるようにならなければ、 君原さんは役を降ろされてしまいます。 あなたから弟さんに言ってください。 君原さんにかけた暗示をといてほしい、2つめの声で、 声を出せといってくれって」と、伝えます。
雪絵さんはユーリに安心するようにと伝えます。


幸吉くんたちは波多野が泊まっているホテルへとたどり着きます。

幸吉くんは、波多野を追ってエレベーターへ乗りましたが、波多野に「飛び降りろ!!」と、暗示をかけられてしまいます。

ユーリたちが雪絵さんの部屋を後にしようとしたそのとき、波多野が帰ってきます。

幸吉くんがまだエレベーターの中にいることに気づいたユーリは、彼を追って 一緒にエレベーターに乗ります。

「ユーリちゃん!!」

雪絵さんは波多野を説得しますが、彼は「2つめの声って、何のことだい?」といっていて、まったく効果がありませんでした。
そこで、広瀬教授も説得を試みます。 けれども効果はありません。

でも、チカコちゃんだけは波多野の力に気づいていました。

「おじさん、この人の目を見ちゃダメ!! 見たら心を操られるよ!!」

「なんだと!?」

「心を操るには、相手の目を見ながら話しかけなくちゃいけないの。 だから目をそらして!!」

「まさか、君は…!」

「そうよ。おじさんに変なこと言ってみなさい。あたしが許さないから!!」

「ほう。どう許さないって言うんだ?」

「ダメ! この人の心は強すぎる!! あたしには操れない!!」

波多野との殴り合いに発展していきます。

波多野に突き飛ばされた広瀬教授を必死でかばう雪絵さん。

「姉さん、そこをどいて!! こいつは姉さんにうそをついた!! 姉さんは僕よりもこの人の言うことを信じるの!? あいつのせいだ。  あいつをもっと早く始末しておけば、こんなことにはならなかったんだ!!」

波多野はそういって、走っていきます。

「エレベーターはどっちへ行った?」

「上!! 多分、波多野さんは飛び降りろって言ったのよ!!」

「雪絵さん、このホテルの最上階は?」

雪絵さんはレストランだと教えます。

「もうこの時間じゃ誰もいないだろうな」


ユーリは飛び降りようとしている幸吉くんを必死で止めますが、暗示にかかってしまっている幸吉くんには通用しませんでした。
そのため、何度も幸吉くんに突き飛ばされていました。
ハラハラしながら、なりゆきを見守りました。

またこの場面、嵐の演出効果が最高によかったです。

風の効果音と舞台セットの木の葉を揺らす演出、本当に素晴らしかったです。

ビデオで見たとき以上に迫力があって、やっぱり生の舞台はいいなあと思いました。

ユーリは意を決して、「幸吉く――ん!!」と叫びます。

ユーリは声を取り戻したのです。

ユーリが叫んだおかげで正気に戻った幸吉くん。

「声が聞こえたんだ。誰かが『幸吉くん』て叫ぶ声が」

「私の声よ! 私の声が戻ってきたのよ!!」

「よかったな。ユーリ!! でも、どうして急に?」

「わからない。二度と会えなくてもいいから死なないでって思ったの」

「そうか、それで暗示が解けたのか。いや、そうじゃない。ユーリは自分の力で暗示を解いたんだ!!」

幸吉くんとユーリは、中へ入ります。

ところがそこへ、波多野がきてしまうのです。

幸吉くんはユーリに電気を消すように言います。

舞台上は青い暗めの照明のみとなります。

そのため、ユーリと幸吉くんの役を演じている岡内さんと細見さんの姿、表情等はあまり見えませんでしたが、 波多野を演じている達也さんの姿だけは、はっきり確認できました。
この場面での波多野の衣装が白いジャケット姿でした。
白い衣装が暗闇に浮かび上がって、迫力がありました。

ビデオではそれほど怖さを感じなかった、傘の音ですが 生は全く違いました。
波多野が傘をコツコツとやりながら現れる場面。
傘の音が暗い場内に響き渡って、恐怖心をあおられました。
こんなに響くとは思いませんでした。

また、達也さんの演技が再演のときよりもさらに狂気じみた演技で、ものすごくこわかったです。
一番こわかったのが、「ユーリ!!」と、大声で叫ぶところ。
この声を聞いた瞬間、鳥肌がたったうえに、背筋がものすごく寒くなりました。
ビデオでも怖かったですが、生はそれ以上でした。

波多野は、「僕の言いつけを破ったのは君がはじめてだ。驚いたよ」と言います。

そして、再びユーリを挑発するようなことを言います。

それをとめたのは、幸吉くんでした。

「俺はユーリを好きになっていない! これから好きになるんだ!!」

力強く、このセリフをいう細見さんが印象的でした。

波多野と幸吉くんの乱闘となります。
この場面で、幸吉くんを演じる細見さんが、傘でセットのガラスを叩き割るんですが、迫力があって 圧倒されてしまいました。

パンフレットに記載がありましたが、この場面、本物のガラスを割っているんですよね。
ビデオで見たときもすごい迫力でしたけど、生の舞台はもっとすごかったです。

ガラスを割った後の、達也さんとのアクション場面も大迫力でした。

千秋楽まで怪我に気をつけて、細見さんと達也さんには演技をしてほしいなあと思います。

波多野が幸吉くんとユーリを殺そうとしたとき、雪絵さんがその前に立ちはだかります。

彼女は「祥也、やめて。 その人を殺すなら、かわりに私を殺しなさい」と伝えます。

波多野は、雪絵さんの手を握り締めます。

そして、持っていた傘を自分の胸のあたりに突き刺して自殺します。

この場面は、なんだか救われない気持ちになってしまいました。

ビデオで見たときは、「僕は、ただ 姉さんを守るために…!!」というセリフがあって、それから、傘を胸に突き刺していたんですが、 今回は変更されていました。

お話の最後は、ユーリは役を降ろされないですんで 無事に声優としての道を進む、という明るいラストを迎えます。

このあと、カーテンコールがあり、いったん客席の電気が少しつきます。

そのあと、キャストの皆さんが再び舞台上にそろいます。

西川浩幸さんが「たくさんのお客様にきていただいてうれしいです」という挨拶と、雪絵さんを演じた忍足さんを紹介して、 公演終了となりました。

しかし、客席の拍手がなりやまず、アンコールが2回あって、終了となりました。

公演終了後、この作品の原作にもなっている「あたしの嫌いな私の声」という小説本を買って、劇場を後にしました。

この小説本は絶版になっていたのを今回の公演にあわせて再販したそうです。
買ってよかった、と思いました。


公演時間は2時間ちょっとでしたが、あっという間に時間が過ぎていきました。

見に行くことが出来てうれしかったです。

posted by 丘澄絵梨奈 at 17:16| Comment(0) | キャラメルボックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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